やってやろーじゃねーの

  • 2009.07.28 Tuesday
  • 12:43
俳優の山田辰夫さんが亡くなった。53歳だよ、まだ。
本当にびっくりした。残念すぎるし、早すぎる。
「おくりびと」での演技からはヒシヒシとエネルギーが伝わってきたのにな。

06年の11月に山田辰夫さんにインタビューをさせてもらう機会があった。
石井聰互監督のDVDBOXが出るタイミングに合わせ、雑誌で「狂い咲きサンダーロード」の特集を組んだのだ。

映画「狂い咲きサンダーロード」はとんでもない作品で、この映画を撮った石井聰互監督と主演のジンを体現した山田辰夫は、一度でも「サンダーロード」を走った人にとって忘れられない名前になる。

取材では編集者2人、僕、カメラマンがほとんど単なるファンと化して、撮影当時(山田辰夫さん23歳、初の映画出演)のエピソードを聞きまくった。それはもう本当にドキドキした。
もう雑誌が出てだいぶ経っているので、書いちゃってもかまわないと思うので、やりとりを少しだけ。

*「狂い咲きサンダーロード」はこれだけの時間が経っても人を惹き付ける作品ですが、山田さんにとってはどんな思い出になっていますか?


 どう言ったらいいんだろう。ホントに昔の女みたいな感じ。知らないよ、もう別れたからって。だけど、聞かれる。元気してるぅ? ってね。知らない。なにやってるか知らないし、生きているかどうかも知らないって。そんな感じ。本当によく聞かれるし、うんざりしていたんですよ。今でもちょっとうんざりしているところ、あるんですけど。もういいだろう……っていうような。もう知らないよ。

 短い時間だけど、本当に濃く深く付き合ったけども、もういいよ。幸せになって欲しい。消息は知らないっていう。


*ロケ中に強烈に印象に残っていることは


 いつも腹減っていた。腹空かしてたなー。いつも腹減っていたな。だから腹立ってたのかな。人が物を食っているところを見たことがない。石井さんが食っているのも見たことがない。悲壮ですよね(笑)。

 タバコを買う金はあったんだけど。食い物を買おうとは思わなかった。だってバイトをした記憶がないもの。俺。どうしていたんだろう。毎日現場に行く金もね。毎日、明日のことを考えないから起きてお金がないってこと。コーラの瓶を売ったり、誰かに電話して、電話も止められていて。その日の交通費を集めて現場に行く。

 明日の現場に行く電車賃を残していくという発想がない。残す残さないというレベルじゃないんだな。


*ストーリーの流れと同じ感じでしょうか。ロケは続き、腹は減り、狂気が増していく。


 なんで現場に行っていたのか。それも不思議なんだよ。なんで止めなかったのか。止めたって言っちゃえばよかった。実際、辞めた人いっぱいいたし、こなくなった人。なんかになるって予感があったのかもしれない。これが終わったら、なにかになるかもしれないって予感は。だから行っていたのかもしれない。

 4人でしたからね。最後。監督と緒方くんと笠松くんと俺。


ちなみに、緒方くんとは、助監督だった緒方明さん。後に監督となり、「独立少年合唱団」「いつか読書する日」「のんちゃんのり弁」を撮る。
笠松くんとは、撮影監督の笠松則通さん。その後もずっと一線で活躍を続ける邦画界に欠かせぬ名カメラマンだ。

金はなくともすげぇ才能が集結していたことは間違いない。

もし、10代半ば過ぎから20代の半ば前までのもやもやしている男子が見えるべき映画を1本あげろと言ったら、間違いなく「狂い咲きサンダーロード」だ。見終わった後にその人が興奮していたら、ジンのセリフ(ほとんどアドリブ)を真似していたら、一晩一緒に、楽しくお酒が飲めるだろう。

山田辰夫様 ご冥福お祈りします。
コメント
本当に早すぎる。
あのインタビューのとき、すでに病魔に冒されていたんですね。握手してもらったのはいい思い出になりました。
今日は狂い咲きTシャツで過ごしました。
  • ダーイケ
  • 2009/07/28 11:30 PM
ですね。
こんなことを言うのも不謹慎かもしれませんが、会いたい人にはどんどん会っていかないと後悔することになるんだなぁと。
  • さぐち
  • 2009/07/30 2:03 AM
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はなににこ のつぶやき: 山田辰夫さん 26日午前10時15分に俳優の『山田辰夫』さんがお亡くなりになったそうです。 53歳、胃ガンだったようです。 山田辰夫さんと言われてもピンと来ない方もいるかもしれませんが……映画『おくりびと』に出演されてましたよ♪ 山田さん
  • 旬刊!ニュースダイジェスト
  • 2009/07/28 1:36 PM

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