ブックライティング100本ノック終了しました

  • 2020.10.02 Friday
  • 15:09
気づいたら、ブックライティングのお手伝いをした書籍が100冊をこえていました。
うーん、えらいこっちゃ。

2、3年前にインタビューをしてもらうというレアな経験をしたとき、「この先の仕事についてどう思っています?」的なことを聞かれ、「とりあえず100本ノックをクリアしてから考えます」とかなんとか答えたのですが、その後の2年が年に10冊ペースで本が出る不思議な2年間になってしまい、予想外の速度で100本ノックが終了。

はてさて、何かが見えてきたのか……と言えば、そうでもなく。
毎回、もうちょいいい原稿、いい取材のやりよう、いい連携、いい関わり方があったのではないかと思いつつ、でも、すぐに次の1冊が……という駆け足で日々が過ぎていっています。
そもそも主戦場が雑誌から書籍に移ったのも、考え半分、成り行き半分で。
息子氏1号が生まれ、おっぱい以外はなるだけ子育てしていきたいし、妻には思うように仕事をして欲しいしってところで、週に4回も5回もインタビュー取材がある慌ただしい感じをどうにかしたいなと思い始めたのが、スタートです。
その点、書籍の仕事は在宅時間を長くできるし、週刊誌や月刊誌に比べたら締め切りに向けたペース配分もしやすいから、こちらを増やそう、と。

また、7年前は明らかに雑誌という媒体そのものが淘汰されていく流れがあり、看板を活かしてWebメディアの顔を持つ方向に舵を切れない雑誌、最新情報をパッケージ化している雑誌は次々と姿を消していっていました。
そういった媒体で、俳優さんやタレントさん、作家さんなんかにインタビューするページを担当していたわけですが、雑誌の影響力の低下はアポ取りの最中に如実に感じるようになっていきます。

以前は90分は確保できた長めのページのインタビュー取材も、徐々に60分で、45分で、写真撮影込みに。
賞味40分や30分で掘り下げた話を聞くのはなかなか難しく、相手の宣伝したい内容を受け取った上で、どの線からアプローチしていくか。それを探りながらインタビューするのは、ドーパミンがどくどく出て楽しくもあったんですが、同時に「もうちょい、ゆっくり聞きたいな」という思いも強くなっていきました。

つまり、何か明確なビジョンがあって書籍にシフトしたわけではなく、生活者として、市場環境の変化として、いちライターの欲求として、こっちの方が良さそうでは? くらいの進路変更だったわけです。
その時点で30冊くらいはゴーストしていたので、聞き取り取材をし、1冊分の商業的な原稿を書いて納品できる感覚はありました。
ただ、それを年に5冊も、6冊もできるのか。それだけの発注があるのか、そもそも生活を支えるだけのキャッシュは回るのか。そしてなにより、読者、編集者、著者の三者から良いと思ってもらえる構成と原稿がコンスタントに上がるのか。
よくわからないまま、なだれ込み、今に至ります。
結局、講座にも通っていませんし、誰からも正しいブックライティングの方法は習っていません。
常に見様見真似。
何なら現場でベストセラーのある著者さんや編集さんに「前作はなんでこの構成になっているんですか?」と逆取材しながら、昭和的見て盗むでやってきました。

で、気づいたら100冊。
この構成、このトーンならそこそこイケるんじゃねぇって思っていても、出てみたら鳴かず飛ばずなことも多々あり、実用書、ビジネス書の売れる売れないは「テーマ」と「著者さん」と「時流」が大事で、原稿なんかさーーーとうらぶれた気持ちにもなったりしますが、それでも著者さんが一発目の原稿を読んで「おお!」と言ってくれれば、チームの士気も上がるし、それでいいのだと納得させながら、進んでおります。
目下の悩みは、何をどうやりくりしても1人では年に10冊以上はできそうにないことです。
そりゃね、独り身になって原稿だけ書いてりゃもっとできるでしょうけど。それは1ミクロンも望んでいないので。
息子氏2号もまだ2歳ですからね。
もう何年かは育児にフルコミットで、ノックを続けていこうと思います。

しかし、読者に寄り添う原稿ってなんなんでしょうね。
(最近、一番胸に響いた赤字です)

思わず爪を噛むものの何も解決せず

  • 2020.05.20 Wednesday
  • 00:18
休校、休園期間は仕方ない!
と割り切りつつも、思うように原稿が進まない日々はじわじわと心を蝕みますね。
なんだかんだで仕事好きなんだなー、自分。

本来であればぼちぼち締め切りだったはずの1冊の原稿は1ヶ月で50ページくらいしか進まずの牛歩状態で。
リモート取材でなんとなく材料が揃ってしまい、原稿スタートできます? になりそうな1冊があって。
冬の終わりに「秋以降はよろしくね」と言われた1冊の取材がそろそろスタートしそうで。
で、その間に「こんな状況ですから」と頭を下げたり、苦笑いしたりの案件が挟まっていて。

肝が太い方ではないので、日に何度か思い出してはぞわぞわしております。
1日の時間消費の中心に仕事を置けるのは当たり前ではなかったんだなー。

書く仕事を来年も

  • 2019.12.31 Tuesday
  • 22:55
2019年も暮れていきます。
ついこの間、00年代になったかと思ったら、明日から20年代ですってよ。
いやー、国語で習ったときはこれっぽっちもピンとこなかった「光陰矢の如し」。
なるほどねー、と。そりゃ紅白の「津軽海峡・冬景色」に、じんとくるわけですわ。

さて。

00年代、仕事の中心は後退を感じ取りつつも雑誌とともにありました。
毎週、毎月のインタビューページ。
華やかな現場にもずいぶん行かせてもらったので、テレビを見ていても「ああ、あのときのインタビューでは」と身近な感覚に。

30分から1時間の1本勝負。
カメラマンさんとの信頼関係、編集さんたちとの阿吽の呼吸。
現場でどれだけ言葉を落としてもらえるか。

前の晩は緊張してお腹が痛くなったり、直前は緊張で口がカラカラになったり、終わった後は出まくったドーパミンの落ち着きどころを探るため、取材時間以上にお茶会をしたり、あれはなんとも得難いもんだな、と。
媒体の看板を借りてのあちこちの現場は、インタビューアーとしてとても恵まれていたのだなーとわかったのは10年代に入ってから。

10年代、携わってきた雑誌が続々と休刊という名の廃刊になっていき、主戦場を書籍のライティングに移していきました。
著者さん、書籍編集者さんとの取材現場は一発勝負の雑誌の現場とはずいぶん異なり、ある種の共犯関係を築くのが重要なんだなとわかるまでずいぶん時間がかかりました。

こいつに託せるのか? という不安。
ひしひしと感じます。

どれだけ現場がいい雰囲気でも、原稿が届かなければ始まりません。
不安を拭えるだけではなく、よかったなと思ってもらえるか。
複数回の取材を終えた後の時間が本当の勝負です。

子どもっちたちができてから、働き方をシフトして、いやいや、こいつはなかなかしんどいぞ、と。
試行錯誤しているうちに20年代がやってきます。
10年代最後の1年は11冊が世に出ました。

何が当たって、何が当たらないのか。
結局のところよくわかりません。
それでも手にとってくれた人の背負った荷物が少しでも軽くなるようにコツコツと。
思っていることは雑誌のインタビュー記事と変わりません。
来年もがんばりましょう!

キミはなんてライター孝行なんだ

  • 2019.10.06 Sunday
  • 23:02
5年前にお手伝いした本の重版のお知らせが届く。
部数はコツコツだけれど、うれしいかぎり。
担当された編集さんはすでに転職されていて、引き継いで担当されている方がどなたかは知らず。
それでも年に1、2回ペースで版を重ねている。
何よりも著者さんが毎年ヒットを飛ばしているからこそのロングセラー化とはいえ、目の前の一冊、一冊にへろへろになっていたところだったので、ありがたいお知らせで。
この本もそんな一冊になるといいなと思いつつ、ふがふがとキーボードを叩くのであった。

しかし、1日で気温差が10℃はなかなかしんどいっすね。
よりによって季節外れの真夏日に午前中公園、午後草サッカーで陽光を浴びまくり、過ごしやすかった日曜日は息子氏1号の習い事の付き合いで5時間くらい空調の効いたファミレスに。
明らかに体がびっくりしております。
 

数的不利な夜

  • 2019.09.19 Thursday
  • 10:10

ライターからすると、つながりのある編集さんが業界内で転職していくのはワクワクします。
移られた先の編集部から、新たな仕事の話を持ちかけてくれることがあるからです。

火曜日の夜、元S社の2人の編集さんと現S社在籍の編集さんと飲みました。
久しぶりの夜の新宿。ざわざわ感が谷根千とはまったく違いますねー。
すげーなーときょろきょろしながら、くじらの食べられる居酒屋へ。

旧知のメンバーで気楽な一方、じつはドキドキもしていました。
というのも、3人全員と仕事をしていて、今まさに全員から書籍の原稿の発注を受けている状態だからです。
ほぼ原稿を渡し終わっている現S社のIさん。
今まさに書いている真っ最中(やや遅れ気味)の元S社のSさん。
居酒屋に行く前、構成の最終打ち合わせをして、これから原稿が始まる元S社のSさん。
(Sが多いな…)

おいしく食べ、飲みはしていたものの、内心、明日からがんばらねば……と落ち着かず。
次の機会はもっと気楽な状態で参加したいものです。
しかも、その明日であった昨日は、夜の新宿に当てられたのか、夕方から発熱。
一晩寝て、すっきりする系だったものの、自分に課している1日のノルマは達成できず。
今日明日で巻き返したいところです。
 

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